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お酒の豆知識

お酒事典

 清酒は「あきたこまち」や「めんこいな」など、飯米として一般に食されているうるち米を原料にするが、吟醸酒や純米酒などの高級酒には、酒造好適米といわれる「秋田酒こまち」、「山田錦」、「美山錦」など、大粒で中心部に“心白”を持った軟質米が使用される。
 玄米には、表層や胚芽部分にタンパク質や脂肪分が多く含まれており、酒質に雑味を与えるので、醸造用堅型精米機で30〜35%を削り取り、余分な成分を除去し精米歩合70〜65%白米とする。(飯米の精米歩合は、90〜92%である。)吟醸酒等では更に磨いて精米歩合50〜40%前後の白米にする。
 このように米を磨く事が秋田の酒質になめらかさやうまさを与える要因の一つになっている。精米された米は、枯し期間をおいた後、洗米して糠を洗い流す。さらに、数時間浸漬され、こしき、または連続蒸米機によって蒸される。出来た蒸し米は放冷機等により冷却され次の工程に進む。
酒造好適米 良い蒸し米ができ、こうじ菌の生育が良く、更に溶解、糖化しやすいので清酒醸造に最適の米。高級酒の醸造に用いられることが多い。
心白(しんぱく) 米粒の中心付近の白色不透明部分のことで、でんぷん質が粗いため麹菌のハゼ込みが良い。
千粒重 形の整った米、1,000粒の重さのこと。
 
(参考) 大粒米(玄米)26g以上の米
  中粒米(玄米)25〜23g
  小粒米(玄米)22g未満の米
精米歩合 精米歩合(%)=白米(kg)÷玄米(kg)×100
(例)精米歩合60%といえば、白米が60%、米糠40%のこと。
(注)精白歩合60%といえば、白米が40%、米糠60%のことで、逆になるので注意すること。
枯し 精米工程で、熱をおびた白米を冷やし、米粒内部の水分分布を均一にする等、安定させるため、一定期間放置しておくこと。
洗米 精白された米には米糠が付着しているので、これを取り除き、蒸し米のさばけを良くする為に米を洗うこと。
浸漬(しんせき) “蒸し”に必要な水分を米粒に与えるために、白米を水に浸すこと。
特に吟醸用白米は高精白なため吸水過多になりやすいので、短時間浸漬法(限定吸水法)が行われ、目標の吸水率にすることは経験を必要とする。
甑(こしき) 米を蒸す装置として、和釜の上に、大型のセイロを上げたものを甑(こしき)と言い、これを連続的に機械で行うものを連続蒸し米機という。
蒸きょう 米を蒸すこと。その目的は次のとおりである。
米中の生の澱粉を熱によって糊化(α化)し、麹菌の生産する糖化酵素の作用を受け易く、また麹菌が繁殖しやすくする。
米粒表面の細菌をはじめとする微生物の殺菌をする。
放冷 蒸し米は、掛け米と麹米に使用されるが、その用途によって目標とする温度まで冷却する。ムシロを敷いて広げ冷却していたが、最近は蒸米冷却機を使用するところが多い。

 麹は、蒸し米に糸状菌の一種である黄コウジ菌の胞子を植えつけ、菌体を増殖させ酵素を蓄積したものである。
 麹は、保温された室(ムロ)25℃〜35℃の中で約48時間かけて製造され、その方法は手造りの麹蓋法、箱コウジ法や機械による自動製麹法などがある。
 麹室に引き込んだ蒸米は出こうじまでに、品温を均一にするため床(とこ)の上に積み上げ布をかけ、2〜3時間後に種こうじを植えつける床揉(とこもみ)、固まった蒸し米をバラバラにほぐしてやる切り返し、こうじ蓋に移しかえる盛(もり)、熱を発散させ温度調整する仲仕事、積替、仕舞仕事などの操作を行う。
 表面は全部菌糸が被さっている総ハゼ麹は、普通一般酒母麹として使われ、菌糸が表面にまだらにはえていて、米粒内部に深く突きささっている突きハゼ麹は、カケ麹や吟醸麹として高級酒に用いられる。
 麹は、ハゼ込みにより酵素力に差がでるので、良い麹を造るためには経験と勘が必要である。
室(むろ) 麹を造るための恒温室で、温度と湿度を調整でき、換気のための装置がつけられている。
引き込み 放冷された蒸米を室(むろ)に運び込み床(とこ)に積み上げること。
麹蓋(こうじぶた) 麹蓋法で用いる小型の箱。材質は杉の柾目で、底は3mmの「まさはぎ板」を3本の棧で打ち付けてある。一般的には、1升(1.5kg)盛と1升5合盛がある。
麹箱 箱麹で使用する30kg盛の大型の麹蓋のこと。底に、木や竹の簀子(すのこ)、またはステンレスの金網を張り、通気をよくする工夫がされている。
種麹 玄米に黄麹菌を繁殖させ、乾燥した胞子のこと。
出麹 完成された麹を室(むろ)より出すこと。外気にさらして温度を下げ、麹菌の増殖を停止させる操作のこと。
枯し 出麹された麹を広げて乾燥、冷却しておくこと。
自動製麹法 製麹の操作を機械で行う方法で、全自動式と、半自動式がある。

 昔から酒母づくりは、一麹、二酛(酒母)、三つくり(醪)と言われる重要な工程で、もろみを発酵させるには、相当量の酵母が必要になる。1ml当り2億前後まで酵母を純粋培養するのが酒母である。雑菌が入り込みやすい状況の中で、純粋に清酒酵母のみ培養することは至難の技であるが、雑菌が酸に弱いことを利用して、乳酸を生成又は添加してその侵入を防いでいる。
 酒母の製法は、二つの系統がある。その一つ、生酛は江戸時代に先進銘醸地で長い間かかって完成されたもので、もう一つが明治になってから生酛の作業を合理化した速醸酒母である。
 生酛では、水麹に冷えた蒸し米を加え(手配)、櫂ですりつぶす作業を行う(山卸)、この作業で乳酸菌を繁殖させ(打瀬)、他の雑菌の繁殖を抑える。その後、品温を17℃前後にし酵母を純粋培養するが、出来上がりまで大体1ヶ月かかる。
 この酛すり操作がなかなか重労働なので廃止したのが山卸廃止酛(山廃)である。
生酛系酒母(生酛、山廃酛) 生酛系酒母は仕込後6〜10℃の低温で働く乳酸菌による乳酸発酵で乳酸をつくらせ、雑菌が侵入し難い環境にし、暖気操作により温度を遂次上げ、清酒酵母の増殖をはかる。約1ヶ月かけて育成するが、これを「使った酒は独特の濃さや幅がある」と言われている。
山廃酛(山卸廃止酛) 山卸とは、山から風が吹き下ろす時期に酛造りをすることからきているという説もあり、山卸は櫂で蒸し米や麹を徹底的に摺り潰す操作をいうが、「櫂でつぶすな、麹で溶かせ」という酒造論理に基づいて山卸を廃止した酒母を山廃酛という。
速醸系酒母(速醸酒母、高温糖化酒母) 速醸酒母では、仕込時に醸造用乳酸を添加して、酛の酸度を調整し、ただちに酵母の増殖をはかるもので、10〜14日で育成が終わる。高温糖化酵母は、仕込を50〜60℃で行い、6〜8時間で糖化を終了させ、いわゆる、甘酒を造った後、冷却し醸造用乳酸で酸性にし、20℃で清酒酵母を添加し、増殖させ7〜10日で育成を終える。
酵母 酵母は100以上のグループに分類され、特に香りや味の点で清酒に適したものを清酒酵母という。現在日本醸造協会が全国に頒布している12株の内、、1501号は秋田県醸造試験場で分離した酵母(秋田流花酵母<AK−1>)である。

(参考) 協会6号   新政(秋田)
協会7号 真澄(長野)
協会9号 香露(熊本)
協会10号 明利小川酵母
協会11号 7号のアルコール耐性異変株
協会14号   金沢酵母
601号 6号の泡なし変異株
701号 7号の泡なし変異株
901号 9号の泡なし変異株
1001号 10号の泡なし変異株
1401号 14号の泡なし変異株
1501号 秋田流花酵母(AK−1)
暖気操作 酒母の温度を上げるための操作。暖気樽に60〜100℃の温湯を入れて、酒母タンクに沈め、蒸米の糖化溶解を進め、酵母増殖の促進を行う。

上槽までが酒造りの前半分であるとすれば、製成(おり引き、濾過、調合、火入れ、貯蔵、酒質の調整、おり下げ、割水、壜詰)は、後半分といってもよいぐらい重要である。
おり引き でんぷんや酵母など、ふながけで充分に除かれなかったものが“おり”となって、沈澱するのを待って除去することをいう。
濾過 おり引き後の清酒には、まだ微細な粒子が含まれ、また、香り、味、色などの調整を図るために活性炭等を使用して濾過を行う。
調合 年間を通じて製品の酒質のバラツキをなくし、特撰、上撰等の製品に沿った、一定品質の清酒を出荷するために第一次的調合を行う。
火入れと火落ち 火落菌等の雑菌、清酒中の酵素の失活を目的に60〜65℃で、低温加熱殺菌すなわち火入れを行う。
清酒の中で火落菌が繁殖すると、酒は白濁し酸が増えたり、悪臭を放つなどして、商品価値がなくなる。これを火落ちという。
貯蔵 清酒は上槽後、製成、調合、火入れを行って、完成品に近づくが、香味が整う(熟成)までには一定期間の貯蔵を土蔵等の冷暗所で行っている。
最近では、食生活も多様化し、新酒のこうじ臭の欠点を克服した技術の向上もあって、新酒の新鮮さが好まれ「冷や」で飲む方も多くなっており、これに対応した貯蔵管理技術の向上と冷蔵設備等の充実によって、生酒、生貯蔵酒、生詰め酒の出荷が増えている。
初呑み切り 火入れが終わってタンクへ貯蔵された酒は、夏の終わりから初秋にかけて、熟成のすすみ具合や、品質などを調べるために“きき酒”を行う。その時初めて酒の出口である「呑み口」を開けて酒を出すので、こう呼ばれている。
酒質の調整(ブレンド) メーカーの販売戦略からくる商品構成に沿った品質にするため、既に把握してある官能審査や成分分析の数値から、次に出荷する商品が決定すると、何本かのタンクの貯蔵酒を調合する。壜詰、調合係、出荷管理担当者の最も神経を使うところである。
おり下げ おり下げとは、「柿渋」・「おり下げ剤」を用いて、酒に溶解、または分散しているたんぱく性の混濁成分を沈殿除去する作業で酒質の変化、白ボケを防止するために行う。
白ボケ 清酒が混濁するケースは、火落ちと白ボケがある。清酒を50〜60℃に加熱して、混濁が消えた場合は白ボケである。これは熱により再溶解したためで、冷えると再度混濁する。
割水 原酒の成分を分析した後、アルコール分などを市販酒規格まで良質な醸造用水等によって加水調整することをいう。
仕上げ濾過 貯蔵中に生じた着色を必要最小限の活性炭素によって除去し、さらに精密濾過機を用いて濾紙やミクロフィルターで丁寧に仕上げの濾過を行う。
壜詰 壜詰の際、60〜65℃に加熱して、最後の殺菌を行い、熱酒のまま壜詰、打栓される。
一般に、製品に対するクレームの大部分が壜詰工程に原因している。それだけに重要で気の抜けない作業である。クレームの内容は酒質そのものに対するものは非常に少なく、混濁、異物混入、異常着色など、目に見えるものがほとんどで、これは壜詰工程がしっかりしていれば防げるものばかりであえる。
製品管理 清酒、特に香味の繊細な秋田清酒は、その取扱いに細心の注意を払うべきである。
清酒の大敵は、熱(温度)と光である。どんなに仕上げ濾過を上手に行って壜詰された製品でも、温度の高いところへ置かれると、その温度と期間に比例し熟成が進む。その結果、過熟となり着色が増し、香味の劣化をもたらす。特に、直射日光下ではわずか30分〜1時間で異常に着色し、日光臭と呼ばれる異臭が付くことになる。従って、配達の時は、シートをかけ迅速に納品することが大切である。又、お得意先の「フレッシュローテーション」「保存管理」にも心がける必要がある。
お得意先における保存管理も低温で日光から遮断され、蛍光灯を使わない必要最小限の明りが理想といわれている。
特に香りの変化しやすい特定名称酒や生酒等は、冷蔵庫に保管する等の配慮が必要である。
一般に「清酒は酒臭い」と嫌われる要因の一つに、清酒本来の性質よりも管理上の問題が大きく影響しているといわれており、保存管理には十分注意していただく必要がある。
理想をいえば1℃に近い比較的長期用の保存室と提供時の温度に設定した保冷庫の二つがあればよいということになる。